靖国神社への参拝や、大東亜戦争という呼称の使用などを巡り、自衛隊が揺れています。著書「日本人と自衛隊 『戦わない軍隊』の歴史と戦後日本のかたち」(原書房)などで知られる米ブリガムヤング大学のアーロン・スキャブランド教授(歴史学)は、「日本が憲法9条改正の事態に至らないよう願う」と語ります。
――自衛隊について20年以上研究してきたそうですね。
私は1970年生まれで、米国で育ちました。米国人が軍人に敬意を表し、「あなたの奉仕に感謝します」と語ったり、軍人が航空機に優先搭乗したりする場面を何度も経験しました。
90年に初めて日本を訪れ、約2年、滞在しました。当時は日本人が一般的に自衛隊を疑いの目で見ており、社会があまり受け入れていないと感じたことを覚えています。米国とは大きく異なります。
私は著書で、戦後の日本社会の視点が現在も正しいのではないかという広い問いを投げかけています。日本が再び戦争を起こしてほしくないと思うからです。
――敗戦国のドイツやイタリアでも、社会が軍隊を受け入れない現象が起きたのでしょうか。
戦後間もない時期にドイツや…